冷たいキスなら許さない
５分後には社長宅の広いリビングの座卓の上に料理を並べて二人で食べ始めていた。
正確に言うと、主に食べているのは私で、社長はビールを飲んでいる。

「寝起きでよくそんなに食えるな」

「だから、お腹が空いてたって言ったじゃないですか。おまけに進さんの料理ですよ。食べられないはずがないし」
私は次々と料理に手を付けた。

そう、これなのよ。これこれ。進さんの料理は癒しの一つ。

「もう少し、落ち着いて食え」
「わかってまふ。あ、このエビしんじょうおいひいれすよ。しゃちょーも早くどーぞ」

「あかり・・・」
社長が呆れるのは当然。

でも、進さんの料理は本当に美味しくてーー優しい味がする。
森家の人たちをよく表している。
森のお父さんとお母さん。そして大和さんと進さん兄弟。
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