冷たいキスなら許さない
何故だか急に寂しくなる。
社長に信用してもらってないのか、私が何かしてしまったのか。
黙りこまれてしまっただけで社長との間に距離を感じる。

「何泣きそうな顔してんだ」

私の額をこつんと突いて社長も困った顔をしている。

「確認だけど、
灯里はそいつと再会してどう思った?そいつと何度も会っているのは元サヤを考えているからなのか?」

「元サヤだけはあり得ません。社長も知ってますよね。あの頃私がどんなに落ち込んでやつれてたか。泣いて心を閉じてどん底に落ちてやっと這い上がってきたんですよ。あっちが何を言ってきたって今さらもとに戻るはずがありませんよ」

「・・・おい、あっちが何て言ってきたって?」

あっと気が付いた時には遅かった。余分なこと言った。やらかした。
社長の右手の人差し指がトントンとテーブルにリズムを刻む。

社長がイラっとしてる時にやる癖で、これ以上イラつかせると、中指が増えて二本でトントン。そこから先は三本になり、最終的には拳でどすんとテーブルを叩くことになる。

はあ、やばいやばい。
指が一本のうちに手を打たなくっちゃ。
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