毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】
「だって、そんな顔されたら、いくら私でも一緒に行きたいなんて言えないよ」

「っ……どんな顔だよ」


すごい、寂しそうな、切なそうな顔だよ。
大馳が今そんな顔してるのは、きっと幼なじみのこと、考えてるからなんでしょ?


「こんなにも魅力的な私のアタックにも全然なびかないと思ったら。大馳ってば、その幼なじみが好きなんだ?」


だから、私といる今も心ここに在らずなんでしょ?

ニッと口角を上げて、努めて明るく振る舞ってみるけれど、私の内情は結構な土砂降りだ。

もっと人の気持ちに鈍感なら良かった、なんて今私は本気で思っている。



「だから、別にそんなんじゃねぇって」



───嘘つき。


「……"魅力的な私"って部分にツッコミの1つも入れないなんて、やっぱり大馳、変だよ。いつもなら絶対"魅力的?誰が?ちなみにどの辺?"とか言ってくるのに」



毎年一緒に行ってた秋祭りに、もう大馳とは一緒に行かないって言われたことなんかよりも、

自分じゃない男と一緒に行くのが嫌なくせに。


「フッ……ククッ」

「え?なんで笑うの……?」

「あーあ。お前見てると何か色々考えてる自分がアホらしくなってくる」

「は?……なんかもう、何言われてもバカにされてる気がする」


ブクッと頬を膨らませて、ここに来て初めて拗ねてみる。もう明るく振る舞うのやめた!
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