毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】
***


黄昏に染まる空を神社に向かって歩く。

少し先から笛太鼓の音が聞こえて、すれ違う人々はみんな色とりどりの浴衣を着ている。

それを横目に見ながら、心の中でいいなぁと呟く私は、最近買ったばかりのお気に入りのワンピースに薄手のコートを羽織っただけ。


今日は待ちに待った秋祭り。


───『秋祭り、一緒に行く?』

大馳の突然の誘いに驚きながらも、全力で頷いたあの日から1週間が経った。


本当は浴衣を着たかったけれど、


大馳のことだから「何?七五三?」とか言われそう……とか。

いやでも、思い切って浴衣でギャップ萌えを狙うべきか!?とか。


散々迷いに迷った……結果、無難なワンピースを選んでしまったと言うわけだ。だけどやっぱり着ている人を見ると羨ましくなる。


あーあ、あれこれ考えずに浴衣で来れば良かったな。大馳とのお祭りは、これが最初で最後かもしれないんだし。


なんて、今更すぎる後悔を抱えながら、見えてきた神社の鳥居に心拍数は急上昇。


───『神社の鳥居前に集合な』


大馳の言葉を思い出して、急にソワソワが止まらない。
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