毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】
気づけばもうすっかり夜に包まれて、境内の外では横一列に並ぶ屋台の灯りだけが、やけに眩しく人々を照らしている。


「あーもう、我ながら上手すぎ!」

「アレ、絶対まぐれだろ」

「違うよ!アレは間違いなく私の実力だよ。ね、おサルさん」


さっき射的でGETしたばかりの、あまり可愛くないサルのぬいぐるみをギュッと抱きしめながら、隣を歩く大馳にドヤ顔する私。


人生初の射的に挑戦した結果、たった2発で景品をGETしてしまった私は、才能の塊だと思う。

あまり可愛くないサルにさえ愛おしさが込み上げてくるくらい、最高にハッピーな気分!


───だったのに。


「なんか似てるな、茜とそのサル」

「……それって、遠回しに私が可愛くないって言いたいの?」


そんな私の気分を、射的で1発も景品にカスリすらしなかった下手っぴ大馳が一瞬で害した。


「俺はただ"似てる"って言っただけだろ?別にそのサルが可愛くないなんて、口に出してねーもん」

「……そうやって女の子に意地悪ばっかり言ってると嫌われるんだからね」

「へぇ。なら、なってみろよ、嫌いに」

「……う"っ」


私が大馳を嫌いになるなんて、きっと天地がひっくり返っても有り得ないってことを、大馳は知ってて言っているのだ。
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