毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】
もはや確信犯すぎて、私が警察官なら愛の手錠を片手に現行犯逮捕しているところだけれど……。


生憎、私はただの女子高生。
今日もこうして、大馳の大罪をまた1つ見逃してしまうのだ。


「どう?茜さん、俺のこと嫌いになりましたかー?」

「……大馳のクソガキ」

「女が"クソ"とか言うな」

「じゃあ、うんこ」

「もう黙れ、その口縫い付けんぞ」

「女の子と2人で祭りに来てるんだよ!?なんでこんなにムードのない会話になるの!?」


ザワザワと賑わう屋台通りを、花火がよく見えそうな土手まで歩く。

見渡す限り恋人たちで溢れている今、私の隣にいるのは"ただの後輩"だ。


きっと今日、私と花火に来てくれたのも、そんな後輩のちょっとした気まぐれで


浮かれていい要素なんて、多分ゼロに等しいんだろうけれど。

それでもいいから、今日は、今日だけは、すぐ側で大馳の笑顔を独り占めしたい。


一緒に見る、最初で最後かもしれない花火を、隣で"キレイだね"って笑いたい。


今日という日が、幼なじみと一緒に来た何年分もの秋祭りの思い出に負けないくらい、


「別にいーじゃん、一緒にいて楽しけりゃそれで」

「……っ!」

「って。俺は思うけど?」

「そ、それって、大馳は私と一緒にいると楽しいってことでいいかな?!」

「さぁ?どーだかな」



どうか、強く強く大馳の記憶に刻まれますように───。
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