毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】
そんなものがあるならば、そもそも大馳のことを好きになっていないと思うのだ。


大馳に毒舌を浴びせられて、悲しくなることは日常茶飯事だけど、悔しいとかムカつく!って感情とはほぼ無縁。



つまり───。


「プライドなんて多分、私は持ち合わせてないんだろうね!」


「威張って言うなよ」



どうやら威張るところを間違えたらしいけど。私にはきっと、プライドなんてない。何も気にしない大雑把なO型。


年上とか、年下とか。
私はそもそも、恋愛において、そんなことを気なしたことは1度もない。


それに、考えてみれば、

私が12月生まれで、大馳が5月生まれ。
私が寝返りする頃に、大馳が少し遅れて産声をあげた……。

そう、たったそれだけの話だ。
たった5ヶ月で年上ぶるつもりもサラサラないし、現に私の誕生日が来るまで私たちは同じ"16歳"なんだから。


「大馳を振り向かす為なら、プライドなんて二の次、二の次〜」


「あっそ。こんだけ押してダメなんだし、そろそろ引いてみれば?」


気だるそうにズボンのポケットに手を突っ込んだまま、大馳は私に向かってベッと舌を出す。

仮に引いたところで、私のことなんてこれっぽっちも気にしてくれないくせに。
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