君に心を奪われて



いつも翼は私の隣に居てくれるようになった。登下校の時、昼休みの時など、いつも隣には翼が居た。


先輩後輩だから教室は違うけど、たくさん会えて嬉しい。


家でもチャットで話をすることが多かった。


お母さんも翼と一緒に登下校する私を楽しそうに見守ってくれている。


「体育祭、もう明日か……」


「そうだね」


部活が無い日は秘密基地に来ていた。二人っきりでドキドキするけど、翼と長く居られて嬉しい。


「花菜、外に出てみようか」


「うん!」


外に出ると、真っ赤な夕焼けで湖も茜色に染まってキレイだった。


「キレイ……」


この夕焼けをこれからもずっと大人になっても翼と見たいって思った。


「キレイだなぁ……花菜も」


「えっ?」


「いや、何もない……」


翼の言葉に私は首を傾げた。私も夕焼けのようにキレイってこと?……それは無いと思う。


明日で体育祭だ。すごく楽しみ。


だって、翼のカッコいい姿が見られるから。


今日も翼の背中にしがみついて自転車で家に送ってもらった。


「じゃあな」


「バイバイ」


明日が楽しみだなぁ……。




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