君に心を奪われて



俺は屋上で快晴の空を見ていた。


「先輩……」


後ろで後輩の駿が呼んできた。駿の顔はなぜか暗そうだった。


「先輩。あんなヤツのどこがいいっすか?」


「俺はな、花菜の笑顔を大好きなんだよ。だから、ずっとコイツと笑って居たいなって思ったんだ」


「いつも無表情のクセにな……」


「俺が急かしたんだよ。作り笑いを見るのは嫌だから素直に笑えって言ったんだ」


俺と駿は屋上の端っこに座った。駿はずっと俯いていた。


「先輩は、告白とかしないっすか?」


単刀直入にそんなことを言われて俺は少し戸惑った。


告白か……。体育祭で勝っても負けても解団式で告白したいなって思う。


「体育祭の解団式で……」


「マジで!?めっちゃいいっすね!」


「まぁな……」


花菜に告白するってことを考えると不安で胸がいっぱいになってしまう。本当に彼女は俺のことを好んでくれているのかって考えてしまう。


「駿って、顔はイケメンなのに背が短いからモテないよな」


「うっせぇー!」


「アハハ」


駿と笑っているとチャイムが鳴ってしまった。俺らは立ち上がった。


「じゃあな、先輩!」


「うん、 またな」


駿は走って自分の教室へ戻って行った。


「告白ねぇ……」


俺は花菜のことずっと考えていた。


今日は一秒でも早く君に会いに行こう。



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