君に心を奪われて
私は授業もしっかり聞くようになった。何故ならば、翼と同じ高校に行きたいから。
「花菜!」
次は理科で廊下を歩いていると、翼に話し掛けられた。
「やっと会えたよ!……もう我慢できないよ?」
「えっ!?」
また翼に唇を奪われた。舌を絡める甘いキスを廊下のど真ん中で堂々とやるのは少し恥ずかしいけどすごく嬉しい。
「うっ……はぁ……」
「花菜……最高……」
――堂々とキスするなんてすごいね。本当にお幸せカップルだね。
そんな噂話があちらこちらで聞こえているのを翼は無視してこれでもかと私の舌を絡ませてくる。
やっと唇が離されると力が抜けて私はその場に座り込んでしまった。
「花菜!大丈夫か?」
「まだ……慣れてないのに……」
「ごめん。でも止まらなかったんだよ。花菜が好き過ぎて」
何でこの廊下のど真ん中でそんな大胆なことを言うのかわからないけど、それだけこんな私を愛してくれてるってことだよね。それは感謝しないといけないけど、恥ずかしくて照れ臭い。
「一緒に行こう。理科だよね?」
「うん」
「行こうか、お嬢様」
手を繋いだと思ったら、翼は私の手にキスをした。大胆過ぎるよ……。
私と翼は手を繋いで理科室へ向かった。遠くから歓声が聞こえていたけど気にしなかった。
「じゃあな」
「うん、またね」
そう言って、私達はそれぞれの理科室へ入って行った。