君に心を奪われて


今日は学校が休みだったので、私は翼と一緒に秘密基地に居たのだけど……。


「花菜……愛してる」


そう言われてまた唇を奪われる。舌が絡まれて、私の頭は真っ白になる。じきに唇を離された。


「いいか……?」


「えっ……」


否応なしに翼が私の首筋を舌で舐めてきた。なんとも言えない感触が私の脳を刺激する。


「あっ……!?」


首筋に痛みが走った。まさかこれは……キスマーク?


首筋から翼が離れた時には、私の頭は真っ白になって状況も把握出来なくなっていた。


「……俺の印を付けてやった。これなら誰にも取られない」


こんな私なんか誰も取ろうとは思わないよ。こんなブサイクな私が貴方に愛されているだけで、私はものすごく幸せだから。


「翼……」


小さな声で翼を呼ぶと、翼は笑顔で私を抱き締めた。



高校生だったら、この続きは一つになったりするんだろうな。でも、まだ子供の私達はすることがない。



こんな愛されているだけで、充分だと思う。



それでもこのご時世、欲求不満な人間が多い。



なぜ、こんなにも惹かれ合うのかな。それは人によるのかな……。



私は受験勉強に追い詰められている貴方の癒しになれるだけで幸せだから。



「幸せ」って、なんだか不思議だよね。今日も明日も好きになれるような気がする。



「翼……」


「何?花菜」


「幸せだよ……大好き」


「うん。俺もだよ」



――こうやって二人で、共に愛を紡いでいこうね。



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