君に心を奪われて



「花菜、一緒に帰ろう!」


翼にそう言われて私は笑顔で頷いて見せた。毎日に一緒に帰ってるんだけどね。


「今日は秘密基地にレッツゴーだぜ!」


「うん!」


私は波に乗ってつい頷いてしまった。よく考えたらアレとかするのだろう、と考えると怖くなった。翼も年頃だし、そりゃ男だからわかってるけど、嫌だな……。


歩いていると、秘密基地がある湖のところに着いた。確か私達はここ出会ったんだ。


私が死のうとして心が折れて、変な空き家に入っちゃって、翼と出会った。翼との毎日は目が眩むぐらい幸せでとても楽しかった。今日も明日も楽しみで好きになれた。


秘密基地の中に入ると、色んな物で溢れていて少し荒れているようにも見える。端っこには翼の簡易ベッドであるハンモックがあり、部屋のど真ん中にはテーブルが置かれてあった。


「あっ……」


「花菜が修学旅行の時に買ってきてくれたキーホルダー。大切に保管してるんだ」


テーブルの端には白い羽と黒い羽がくっついている独特なデザインのキーホルダー。これが翼にピッタリだと思って買ったのだ。


「ありがとう、いつも……」


こんな私の隣に居てくれて、好きなってくれて、本当に嬉しかった。翼は私にたくさんの幸せを与えてくれた。翼のおかげで今の私があるんだ。


「いや、俺はずっと花菜を愛しているから……」


翼にそう言われて私は地面に押し倒された。翼の顔がいつも以上に近い。


「壊れるほど愛してるさ」


「私、も……」


翼が私の頬にキスを落とし、舌で私の首筋をなぞった。私は少しゾクッとしたが、それでも愛しい翼なら構わないと思った。


「痛くしないからな、初めてだけど……」


「……うん」


私が頷くと、翼は私の服を脱がした。少し怖くなったが翼だから大丈夫だと自分に言い聞かせた。


「花菜、愛してる」


「あっ……私も……」


あの日からずっと愛してる。私を人生のドン底から救い出してくれた君をずっと愛してる。大好きだから、君が全部愛しい。


唇が重なり、舌を絡ませる。胸の高鳴りが止まらない。






今日、初めて君と一つになった。




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