君に心を奪われて
本当に夢を見ていたような感覚だった。電話の着信音が流れていて、それで私達は目を覚ました。
私達は裸のままだった。そうだ、翼と一つになってそのまま二人で寝てしまったのだ。
二人で時計を見ると夜の十二時を指していた。この時計は少し狂ってるからプラス三時間して朝の三時なんだ。
「うわぁ、お前の電話ずっと鳴ってるぞ。ご両親プンプンだよ」
翼の言葉に私は顔を歪めた。私は翼から携帯をもらい、メールを書いた。
『今日は栞奈ちゃんの家に泊まります』
「うわぁ、まっぴらな嘘じゃねぇか」
「仕方ないでしょ!こんなことしてるなんて言いたくないの!」
こんなこと親に叱られたら翼は殺されるだろう。一気に信頼関係が崩れてしまうだろう。
「じゃあ、キスしてあげようか?」
「翼、今日はすごく甘いね」
「うん、花菜が居るからな」
また私達は真夜中に甘く熱いキスをした。
やっぱり私は君が好き。君が何者であろうと構わない。
ずっと君と生きていきたいんだ。