君に心を奪われて



俺は無菌室で放射線の光を浴びせられていた。


俺は血を作れない化け物になるのだ。


人生はまるで、導線を流れる電流のようだ。導線という運命を俺達は辿って行くのだ。導線を増やすことも減らすことも出来ない、最初から定められた運命を辿るのだ。


俺の導線は途中で途切れる。それは死を表している。だけど、また新しい導線を通るんだ。来世の道を辿って行くのだ。


一つ一つの電子という刹那は一秒を刻む間に何個も後ろへ流れて行く。今、この瞬間も過去として流れてしまうだろう。


俺の意識は遠くなっていく。本当に骨髄が消えたんだな。






花菜、愛してるよ。ずっと……。











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