転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「はあ?嫌がらせな訳がないだろう。なぜこんなくだらない嫌がらせをする必要がある」
そうかなー、あなたならしそうな気もするんですけど……とは思ったものの賢明な判断で言わず、私は代わりの言葉を口にした。
「じゃあこれは私のため、だったんですか?」
「……ふん、嫌ならすぐやめてやる」
ぷいとそっぽを向く仕草が子どものようで可愛らしくて思わずくすりと笑ってしまった。
「ありがとうございます。あ、でもすみませんけどパイはもういいです」
「なに?お前、俺のパイが食べられないと言うのか?」
「横暴!あなたが作ってるのでもないでしょうに!」
自分のフォークで刺したパイを強引に口にねじ込もうとしてくる王子から顔を逸らす。そこではたと気がついた。
「あれ?殿下、食器を銀に変えたんですか?」
改めて見れば机に広がっている皿も全て銀になっている。
問われた王子はと言えば、あーとかうーとかそんな呻き声を出してフォークを見つめていた。
「いや、まあ……銀にしたい気分だったんだ」
「……シャルキさん、理由知ってます?」
「あっおい!わかってるなシャルキ、言ったら減給だぞ!」
私と殿下、2人に見詰められたシャルキさんは両手を上げて早々に降参のポーズをとった。
「銀にした理由じゃなくて金だった理由だけ言うならいいですかね?銀の食器を使ったらエスメラルダ殿下側に毒を恐れているように思われるからだったんですけど……まあ要らん意地ですよね」
投げやりな口調の最後の言葉からシャルキさんも王子が金食器を使っていたのをあまりよく思っていなかったのだとわかる。
「私には最初から銀を使えと言っておいて、自分は死んでも構わない、と」
じろっと私に横目で見られて王子が一瞬言葉に詰まる。
「……あの女もそこまで馬鹿ではないから俺に直接毒を盛ったりはしないとわかっているからな。今有耶無耶になっているのは殺されているのが所詮令嬢だからだ。王子など殺せば本気で調べられてすぐにバレる」
「でも絶対じゃないじゃないですか!もしかしたら死ぬかも……」
「だから銀にしただろう!」
もうこの話は終わりだ、と顔を背けるグイード殿下の耳が赤くなっていた。よく見ると首もだ。
そうかなー、あなたならしそうな気もするんですけど……とは思ったものの賢明な判断で言わず、私は代わりの言葉を口にした。
「じゃあこれは私のため、だったんですか?」
「……ふん、嫌ならすぐやめてやる」
ぷいとそっぽを向く仕草が子どものようで可愛らしくて思わずくすりと笑ってしまった。
「ありがとうございます。あ、でもすみませんけどパイはもういいです」
「なに?お前、俺のパイが食べられないと言うのか?」
「横暴!あなたが作ってるのでもないでしょうに!」
自分のフォークで刺したパイを強引に口にねじ込もうとしてくる王子から顔を逸らす。そこではたと気がついた。
「あれ?殿下、食器を銀に変えたんですか?」
改めて見れば机に広がっている皿も全て銀になっている。
問われた王子はと言えば、あーとかうーとかそんな呻き声を出してフォークを見つめていた。
「いや、まあ……銀にしたい気分だったんだ」
「……シャルキさん、理由知ってます?」
「あっおい!わかってるなシャルキ、言ったら減給だぞ!」
私と殿下、2人に見詰められたシャルキさんは両手を上げて早々に降参のポーズをとった。
「銀にした理由じゃなくて金だった理由だけ言うならいいですかね?銀の食器を使ったらエスメラルダ殿下側に毒を恐れているように思われるからだったんですけど……まあ要らん意地ですよね」
投げやりな口調の最後の言葉からシャルキさんも王子が金食器を使っていたのをあまりよく思っていなかったのだとわかる。
「私には最初から銀を使えと言っておいて、自分は死んでも構わない、と」
じろっと私に横目で見られて王子が一瞬言葉に詰まる。
「……あの女もそこまで馬鹿ではないから俺に直接毒を盛ったりはしないとわかっているからな。今有耶無耶になっているのは殺されているのが所詮令嬢だからだ。王子など殺せば本気で調べられてすぐにバレる」
「でも絶対じゃないじゃないですか!もしかしたら死ぬかも……」
「だから銀にしただろう!」
もうこの話は終わりだ、と顔を背けるグイード殿下の耳が赤くなっていた。よく見ると首もだ。