転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「禍の王子がまた花嫁候補を連れて来たとかで城内で噂になってましたわ」
「わ、禍の王子……と言うと?」
「あら、ご存知ないのですか?有名なお話だと思っておりましたが」
不審そうな顔を向けられた。話を深掘りされると困るのですっとぼけてみたのだがよろしくなかったようだ。そうか……有名な話だったのか。
そんなに沢山の人にあの王子はそんな風に呼ばれているのか────
「グイード殿下の事ですわ。第一王子なのに王位継承権は2位の可哀想なお方……」
「……えっ?」
もう聞き役に徹し首を突っ込むまいと思っていたのに、聞き捨てならない言葉に思わず問い返してしまった。少女はやりすぎではないかと思うような、演技じみた深い憐れみの表情を浮かべて頬に手を当てている。
「勿論まだ正式に決まってはいませんが、王位が継承されるのはフォン殿下と皆口々に言っていますのよ。だって、グイード殿下は……」
一瞬、ほんの一瞬だけ、鮮やかな蔑みの色が碧の瞳を掠めたのを私は見逃さなかった。それは目を瞬く間に元の憐れみの色に変わる。
「噂によると今回の方は随分長いみたいですわね。それにあまり部屋から出ていらっしゃらないとかで、どんな方なのかと皆興味があるようですけれど。
今回の方もいつものように財産や権力目当てなのでしょうから、どうせ王にもなれないグイード殿下の花嫁候補など早く辞めた方がいいと思いますわ」
私でしたら迷う間もありませんわ、と吐き捨てるように言った少女は、私の目を見つめてにっこりと笑った。
「わ、禍の王子……と言うと?」
「あら、ご存知ないのですか?有名なお話だと思っておりましたが」
不審そうな顔を向けられた。話を深掘りされると困るのですっとぼけてみたのだがよろしくなかったようだ。そうか……有名な話だったのか。
そんなに沢山の人にあの王子はそんな風に呼ばれているのか────
「グイード殿下の事ですわ。第一王子なのに王位継承権は2位の可哀想なお方……」
「……えっ?」
もう聞き役に徹し首を突っ込むまいと思っていたのに、聞き捨てならない言葉に思わず問い返してしまった。少女はやりすぎではないかと思うような、演技じみた深い憐れみの表情を浮かべて頬に手を当てている。
「勿論まだ正式に決まってはいませんが、王位が継承されるのはフォン殿下と皆口々に言っていますのよ。だって、グイード殿下は……」
一瞬、ほんの一瞬だけ、鮮やかな蔑みの色が碧の瞳を掠めたのを私は見逃さなかった。それは目を瞬く間に元の憐れみの色に変わる。
「噂によると今回の方は随分長いみたいですわね。それにあまり部屋から出ていらっしゃらないとかで、どんな方なのかと皆興味があるようですけれど。
今回の方もいつものように財産や権力目当てなのでしょうから、どうせ王にもなれないグイード殿下の花嫁候補など早く辞めた方がいいと思いますわ」
私でしたら迷う間もありませんわ、と吐き捨てるように言った少女は、私の目を見つめてにっこりと笑った。