転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「余にとっては、正室であろうが側室であろうが、形式上のことなどどうでもよかった。しかしお前には……母を蔑ろにしているように見えたことだろう。余にそのつもりはなくとも、事実はそうであるからな……悪かった」
「────」
グイードが息を呑んだ。まさか謝罪されるとは思っていなかったに違いない。グイードは唇を微かに開いたものの、結局赦しも憤りも伝えることのないまま、そっと目を伏せた。
国王は口髭に半ば以上埋もれた唇を歪めた。
「簡単には赦せまいよ。余が悪かったのだ、お前に寄り添うこともせず……お前は母を喪ったのにな」
今更言っても詮無いことだな、と王はゆるゆると首を振る。そして気を取り直すように軽く咳払いをした。
「お前の婚約発表パーティについては後日改めて連絡するゆえ待つように」
再び鋭い目をして、4人を順々に見渡す。王の威厳を以て彼はこう口にした。
「王位はグイード・メリアルーラ・シェバルコに与える。異論は認めぬ。これは正式な決定である。グイードの婚約と共に皆に発表する」
国王はゆっくりとした足取りで王の間から退室していく。
その背を見届けて────エスメラルダ殿下はがくりと膝を折った。ドレスが汚れるのも厭わずに絨毯の上にしゃがみこみ、手で顔を覆って肩を震わせる。
臆面もなく嗚咽を零し、嘔吐きながら、彼女は悲痛な声で喚き散らした。
「フォンがこうなったのは、全て私のせいなのですか……?フォンは私の息子ではなく、私と陛下の息子なのではありませんか!?それなのに、貴方はあの女の赤目の息子ばかり可愛がられて……!
陛下は、いつもいつもメリアルーラと!あの女が死ねば私を見てくださるかと思えば、それでもメリアルーラ!あの憎い女の名ばかりお呼びになるッ!」
ひゅっ、と細い喉が鳴る。
「貴方の目が追うのは……いつもあの女の赤だった!こんなに、こんなにお慕いしておりますのに……っ、陛下は……一度たりとも、私と息子を見てくださったことはございませんわ……!」
「────」
グイードが息を呑んだ。まさか謝罪されるとは思っていなかったに違いない。グイードは唇を微かに開いたものの、結局赦しも憤りも伝えることのないまま、そっと目を伏せた。
国王は口髭に半ば以上埋もれた唇を歪めた。
「簡単には赦せまいよ。余が悪かったのだ、お前に寄り添うこともせず……お前は母を喪ったのにな」
今更言っても詮無いことだな、と王はゆるゆると首を振る。そして気を取り直すように軽く咳払いをした。
「お前の婚約発表パーティについては後日改めて連絡するゆえ待つように」
再び鋭い目をして、4人を順々に見渡す。王の威厳を以て彼はこう口にした。
「王位はグイード・メリアルーラ・シェバルコに与える。異論は認めぬ。これは正式な決定である。グイードの婚約と共に皆に発表する」
国王はゆっくりとした足取りで王の間から退室していく。
その背を見届けて────エスメラルダ殿下はがくりと膝を折った。ドレスが汚れるのも厭わずに絨毯の上にしゃがみこみ、手で顔を覆って肩を震わせる。
臆面もなく嗚咽を零し、嘔吐きながら、彼女は悲痛な声で喚き散らした。
「フォンがこうなったのは、全て私のせいなのですか……?フォンは私の息子ではなく、私と陛下の息子なのではありませんか!?それなのに、貴方はあの女の赤目の息子ばかり可愛がられて……!
陛下は、いつもいつもメリアルーラと!あの女が死ねば私を見てくださるかと思えば、それでもメリアルーラ!あの憎い女の名ばかりお呼びになるッ!」
ひゅっ、と細い喉が鳴る。
「貴方の目が追うのは……いつもあの女の赤だった!こんなに、こんなにお慕いしておりますのに……っ、陛下は……一度たりとも、私と息子を見てくださったことはございませんわ……!」