ただ好きだから
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夢の中
コツコツ…と質のいい革靴の音が軽やかにフロア全体に響きわたる社内。
まるで何かに引き寄せられるかのように、周りの人々はその方向へと目を向け
そして決まって「ほぅ」と熱い溜息を吐き出してはまた視線を彼に戻す。
男は憧れの眼差しで見上げ、女は胸元を押さえ顔を赤らめる。
高い鼻筋に漆黒の瞳
長身に細身なスーツが彼のスタイルの良さを際立たせていた。
全ての者が彼に魅せられ、その独特な雰囲気に心を奪われる…
それはまるでおとぎ話の中に出てくる登場人物のようで…誰も近寄る事なんて出来ない。
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