ただ好きだから


ほどよく筋肉の付いた色っぽい上半身



普段丁寧にセットされている髪はいつもと違い無造作で



そして何より…恐ろしいほど整った顔と独特の雰囲気が私を緊張感の中へと引き込んだ。


「知りたいか?」



静かでいてよく響く声だと思った。


ギジリとベットのスプリングの音が鳴る。


社長の顔をこんな近くで見たのは初めてで、私の苦手なあの漆黒の瞳が真っ直ぐにこっちを見ている。


「…………」



知りたいかというとそれは微妙で、これが夢だったらいいのになんて思ってる。



だって社長って…自分の会社の社長って…しかもあの人気抜群な社長って!!笑えないから!全然笑えないから!!
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