ただ好きだから
「お前、昨日俺に向かって吐いたんだけど」
………ん?
「えーーーーーっ!!!?!?!?」
嘘でしょ?嘘だよね!?嘘だと言って!!!
社長に向かって吐いた?
確かに気持ち悪かった、気持ち悪かったけど何で社長に向かって吐く必要があるの?そもそもあの飲み会に社長はいなかったはず!ていうかいるはずないし!!
「嘘ですよね…?そんなわけないですよね…?」
唖然と開いていた口をとじて、しどろもどろにそんな事を言葉にすると
社長は怪訝そうに眉をひそめて溜息を吐き出す。
「嘘?そんな嘘ついて俺になんのメリットがある」
た…確かに…
「通りかかった俺の服いきなり掴んだかと思えば、スーツに吐くは倒れるはでかなり迷惑した」
嘘でしょ…お願い誰か…夢だと言って…
私の立っていた足は、あまりの衝撃に力を失いヘナヘナと床へ腰を付けた。