ただ好きだから
でも…何でそれから私は今、こんな状態になってるの…?
社長の部屋で社長のティーシャツを着ていて…しかも同じベッドで寝てたなんて!!
そんな私の考えを見抜いたのか、社長はそばに置いてあった黒いティーシャツを手に取るとそれを着ながら口を開いた。
「俺もお前もゲロまみれだし、あげく気失ってるしで今この状態」
「…そう…でしたか…」
なんかもう何をどうしたらいいのか分からない。どこをどう謝ればいいのかも分からないほど…私ってとんでもない事しちゃったんじゃ…
どうしよう…自分の会社の社長にゲロぶちまけるって…ありえなくない?
しかもその後の介抱してもらったなんて…
え、まって、もしかして…もしかしなくても
「私、クビですか!?」
社長にこんな失礼をしてただで済むわけがない!ただの失礼どころの話しじゃないし!!
「クビ…ね」
アワアワと手を口元に当てながら社長の座るベッドのそばで泣きそうになる。
「どうか許して下さい。本当にすみませんでした!!」
かなりの勢いで床に頭が付きそうなくらい深く頭を下げると、頭上からはまさかの「クッ」とノドを鳴らすような音が響いてきて
「クビにはしない、けど条件がある」
静かな空間にそんな社長の声が響いた。