ただ好きだから
課に戻ると、何故か急ぎ足で部長が私のところまで走ってきて少し焦ったような顔付きで私を引っ張り部屋の隅へと連れて行く。
「部長、どうしたんですか?」
その表情はやっぱりどこかいつもと違くて、焦ったような困ったような顔だ。
「椎名、社長が社長室に来るようにと」
「………え」
ええぇぇぇー!!!!?!?
まさかここに来てそう来るとは!社長にさえ会わなければ何にも問題ないとばかり思ってた…油断した。
まさか呼び出して来るなんて。
「椎名、お前この間の金曜日の事じゃないか…大丈夫なのか?」
部長は心配したように私を見つめて来るけれど…大丈夫とはとても言えなくて…てゆうかやっぱり部長も私がクビになると思ってるのかもしれない。
「えっと…あの…とりあえず行ってきます…」
ただ小声でそんな情けない言葉を発するのに精一杯だった。
どうしよう私…本当にクビになったら。