ただ好きだから



二人ともご飯を食べ終わった後「じゃあ土曜日の11時に出発な」とそう言った咲夜は立ち上がると自室へと戻って行った。


「あー何か調子狂う…ただの偽りの関係なのに」



頭を抱えるようにしてポツリと呟くと、やけに広いリビングに響いてこだまする。



立ち上がってカーテンの閉まっていない窓の外を眺めてみると、キラキラと反射した街並みが綺麗に光を放っていて幻想的だ。



「高層階すぎて外からみえないからカーテン閉めなくても良いのか」



冷静にそんな事を考えてる私って、相当図太いのかもしれない。


意外にもこの生活に早々と慣れてしまいそうな自分がもはや怖い。



それにしても家事をしなくて良いってこんなにも楽なんだ。プロジェクトのメンバー発表があった今、明日から仕事も忙しくなるだろうし、正直言って有難いかも。


お風呂に入ろうと椅子にかけてあったジャケットを取ると、そのままお風呂場へと直行した。



< 55 / 66 >

この作品をシェア

pagetop