【先生×生徒シリーズ】優しい月 暗い海─私と先生─
そこには男女が写っていた。
男性がカメラを持って写したのかな。
結構、アップで頬と頬を寄せ合って写ってる。
男性は満面の笑みを浮かべていた。
清潔に短めに切られてる黒髪。
縁なしメガネの奥の目は、本当に心から笑ってるようだった。
隣の女性は、幼い感じ。
白い透き通るような肌に、黒い長い髪。
私は写真を持つ手が震えていた。
だって満面の笑みで写ってる男性は先生だったから…。
震える手が治まらない。
机の方に倒れそうになった…。
机の上に手をついた。
「ん…」
その声に私は慌てて振り向いた。
先生がメガネをかけて上半身を起こす。
「何してる」
先生は立ち上がり、私が持っていた写真を取り上げると、スーツのポケットの中にしまい込んだ。
「この学校に泥棒がいたとはな…」
「そんなつもりじゃ…」
写真に写っている先生と今の先生のギャップに動揺していた。
下唇をかみ締め、手を握り締めていた。
しばらく沈黙が続く…。
「俺が何で、この学校に来たか教えてやろうか?」
先生は私の目を冷たく見つめたまま言った。