【先生×生徒シリーズ】優しい月 暗い海─私と先生─
「私ね、お母さんに聞いたことがあるの。
何でこの名前を付けたの?って。
海は夜になると昼間と違って色が青色から黒色になるでしょ。
でも月は暗いものでも照らして明るくすることが出来るよね。
だから月のように暗いものを照らして明るく出来るように。
落ち込んで暗く閉ざしてしまった人の心を、明るく照らすような優しい子になるように。
海に映る月のように美しくなるように。
それで海の月と書いて、みづきにしたんだって。
まぁ本当の意味がわかった時にはショックだったけど(笑)
でも今はクラゲも好きだよ。
ユラユラゆっくり優しく泳ぐクラゲがね。
だからね…先生の海のように暗くなった閉ざされた心を私の月で優しく照らしてあげるよ」
「成瀬…」
先生が始めて苗字を呼んでくれたような…。
いつも出席番号で呼ぶから。
私は先生に微笑む。
「成瀬に照らしてもらったら明るすぎて困るかもな」
先生が笑う。
私も笑う。