【先生×生徒シリーズ】優しい月 暗い海─私と先生─
act.2
私は数学が大嫌いだった。
数字を見るだけでわけわからなくなる。
数学があった日には夢にまで数字が現れるぐらいだ。
だから数学の授業は嫌い。
でも…先生のことは大好きだった。
いつも授業の時には窓の外をボーと眺めてるか、先生の事を見てるかどっちかだった。
その時、突然チョークが飛んできた。
おでこに当たるチョーク。
白いチョークが机の上に転がる。
「いたっ!」
私はおでこを押さえる。
そして前を向くと先生が無表情でこちらを見ていた。
「俺の授業が嫌なら受けなくていい。ただ目障りだから嫌なら教室から出ろ」
冷たく言い放つ先生。
「すいません…」
私は消えそうな声で俯きながら言った。
先生は何事もなかったかのように授業を進めた。