【先生×生徒シリーズ】優しい月 暗い海─私と先生─
act.3
「あぁ~あ」
次の日の休み時間。
私は教室の自分の机の上に、上半身を倒して昨日の事を考えていた。
「どうしたの?クラゲちゃん」
話しかけて来たのは小学校の時からずっと一緒で、親友の愛実(あいみ)
愛実が私の顔を覗き込んで言った。
そして私の隣の机である自分の机の椅子に座った。
"クラゲちゃん"とは私のあだ名。
海の月と書いてクラゲと読む事を知ったのは小学6年生の時。
それまでは自分の名前が神秘的で大好きだった。
でも、6年の時の修学旅行で行った水族館で、説明してくれた職員さんの言葉に気を失いそうになった。
『クラゲは海の月と書いてクラゲと読みます』
その瞬間、皆の視線が一斉にこっちに注がれた。
それから私のあだ名は"クラゲちゃん"になった。
修学旅行から帰って、お母さんに名前で笑われたこと。
あだ名が"クラゲちゃん"になったことを話した。
するとお母さんは、
『へぇ。海の月と書いてクラゲって読むんだ。知らなかった~。でも可愛いじゃないクラゲちゃんって』
と、あっけらかんと言ってたっけ。
子供の名前を付ける時には、ちゃんと調べようよ。
あと漢字の勉強もちゃんとしようよ。
そう思った小学校6年生の春だった。