限定なひと
「あの、由美さん。うちの会社って、個人情報の守秘義務はあって無いようなもの、なんですね」
 彼女は少しの間の後、言われてみればそうかもしれない、と弾けるようにカラカラ笑い出す。そうして笑いながらも、ここだけの話にしておくから安心して、と言った。
 でも、それこそが一番安心できないことだと、彼女は絶対解っていない。私はこっそりため息をついた。
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