限定なひと
「どうやって、貴女を抱いたの?」
「……忘れた」
俺は一旦手を止めて、彼女の躰を少し乱暴なくらいに抱き寄せる。
「美智留さん。俺ね、すごい馬鹿な事してるって自覚は充分あるんだ。頭じゃわかってんの、でもね、やっぱり気持ちがそれに追っついていけない。もちろん、貴女の過去も含めて全部好きだよ? 愛してる」
彼女の顔を覗きこむ。眉間に皺を寄せ、視線で精一杯虚勢をはる彼女が愛おしくてたまらない。
「だから、自分でも正直、驚いてる。こんな酷い感情が、俺ん中にあるって解ってさ。これじゃおっさんの事、どうこう言えた立場じゃないよね」
彼女の険しい表情が、ますます深くなっていく。
「でもね、気づいたからにはもう、どうしようもできない。こんな馬鹿げた事でもしない限りは、消化できない。だから、……ごめん、お願い」
大きな深呼吸が聞こえた、その時。
「……スカーフ」
掠れた声が、そう言う。
「スカーフで両手を縛るの。……文机の足と一緒に」
絶対に俺と視線を合わせてはくれない彼女が、羞恥と後悔でいっぱいの表情をしていたから、俺も居たたまれない気持ちになる。でも、このまま流してしまえば、この先もこれが蟠りになる。絶対。
「……忘れた」
俺は一旦手を止めて、彼女の躰を少し乱暴なくらいに抱き寄せる。
「美智留さん。俺ね、すごい馬鹿な事してるって自覚は充分あるんだ。頭じゃわかってんの、でもね、やっぱり気持ちがそれに追っついていけない。もちろん、貴女の過去も含めて全部好きだよ? 愛してる」
彼女の顔を覗きこむ。眉間に皺を寄せ、視線で精一杯虚勢をはる彼女が愛おしくてたまらない。
「だから、自分でも正直、驚いてる。こんな酷い感情が、俺ん中にあるって解ってさ。これじゃおっさんの事、どうこう言えた立場じゃないよね」
彼女の険しい表情が、ますます深くなっていく。
「でもね、気づいたからにはもう、どうしようもできない。こんな馬鹿げた事でもしない限りは、消化できない。だから、……ごめん、お願い」
大きな深呼吸が聞こえた、その時。
「……スカーフ」
掠れた声が、そう言う。
「スカーフで両手を縛るの。……文机の足と一緒に」
絶対に俺と視線を合わせてはくれない彼女が、羞恥と後悔でいっぱいの表情をしていたから、俺も居たたまれない気持ちになる。でも、このまま流してしまえば、この先もこれが蟠りになる。絶対。