限定なひと
 彼女はまるで雷にでも打たれたかのように、驚きで目を見開いて、こちらを見上げた。ね、どう? と再度促すと、途端に瞳にむくむくと水滴が溜まりだし、ぽろぽろとそれが零れ落ちた。まるで小さい子のようにわあわあと大声を上げて泣きじゃくる彼女の背中をよしよしと撫でてやると、更に火が点いたようで、俺のシャツをぐしゃりと握り締めながら声を限りに泣き喚く。
 俺は、そんな彼女を見下ろしながら、心の中がやっと凪いでいくのを感じていた。

「腕、痛くない?」
「……うん」
 スカーフで括られた華奢な両手首を彼女の頭上で抑え込みながら、矛盾してるよな、と内心独り言ちる。空いた方の手で、彼女の乳房を可愛がると、擽ったそうに全身を捩った。そのまま深く口づけるのと同時に、硬く尖った先端を指先で強く抓むと、くぐもった声が上がる。
「いい?」
 彼女の目を見てそう言うと、こくりと彼女が頷いた。中途半端にずり下ろしたままの小さな布きれを、片足だけ抜き取る。クロッチの辺りの濡れ方が尋常じゃない。いつもなら意地悪半分で茶化すところだけど、今は放っておく。無駄口叩いて、この状況に水を差すような真似はしたくない。
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