サヨナラから始まる恋

龍樹くんに一度でも

わたしのこと好き?

わたしのこと愛してる?

って聞いたことあったっけ。


……ううん、ないんだ。

付き合ってくれたことが奇跡だと思ったから、それ以上のことは望んじゃいけないと……

そう思っているのに、それから先を望んでしまう自分が嫌で別れたんだから……



「龍樹くんは、いつからわたしのこと好きなの?」

泣きながら笑うわたしが奇妙だったのか、びっくりしたような顔をした龍樹くん。


「俺もずっと……好きだったよ。入社して 研修で初めて話した時、千夏のその素直なところや、優しいところにもすぐに気づいた。

関係を崩すのが怖くてヘタレな俺は、ずっと告白できなかったけど。

でも 千夏の周りの男は排除したけどな……」


ダセェ……

そう小さく恥ずかしそうに

……バツが悪そうに笑う姿に、心臓がぎゅっと掴まれた。


「じゃあ、言ってよ……好きって。一度も言ってくれなかったじゃない。好きなんて言われてない、わかんない!」


こんなこと言うはずじゃなかったのに

でも、ずっと好きで、付き合っても片想いだと思っていた龍樹くんが、もしかして本当にわたしのこと好きなのかもしれない……

そう思うと口が止まらない。
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