むらさき
ぼくとトモロウがそれぞれの担当の先生からの補習を終えて寝泊まりに割り当てられたシカ組へ戻り出入り口の開き戸を開けると、同時に顔に重い衝撃と共に視界が真っ暗になって鼻がツーンと痛くなった。
「よっしゃ、あったり~!100点!」
前方遠くにはタケシの声。
少しの間を置いて、視界をさえぎっていたものが下へドサリと落ちた。
なにごとか、見下ろしてみる。
──枕。
「タ~ケ~シ~!このやろぉ!!」
ぼくはその枕を持ち上げると、シカ組の中で早くも布団を敷いているタケシに向かって枕を投げ返した。
だけどタケシはあっさりそれをかわした。
「はっずれ~!ユウスケ0点!」
「くっそっ。トモロウ、あのバカダヌキ、こらしめてやろう!」
「がってんしょうち!」
ぼくはトモロウといっしょになって、タケシを押さえ込んで腕の間接を極めてやる。
「やめろ!うおぉ!オレは負けねえ~!」
どたんばたんとタケシは暴れるけど、ふたりで押さえ込んでいるから逃げられない。
そしてとうとう、
「いで、いでで!た、タップタップ!参った!」
技をかけていたぼくの太ももをぱんぱんと叩いて降参を示した。