むらさき

「あったー!今日みっつめっ!」

いきなり、がばっしゃ~んっと豪快にミシマが叫びながら起き上がった。

「うわぁ!」

ぼくはたまらず驚いてその場に尻もちをついた。

乾いていたパンツがじわっと濡れていく、気持ちの悪い感覚が股間をおおった。

それに気がついたミシマは、

「あ、セダくん!みっつめだよ。わたし、今日みっつめの技術、見っけちゃった!」

ゴーグル越しでもよくわかる整った顔立ちで笑顔をこしらえて、右手をぼくに向けて付きだしてきた。

「それなに?」

ぼくは心臓がドキドキしているのをミシマに気がつかれないように気取った調子で、彼女の手のひらの上に乗った丸いものを見た。

「たぶん、ガチャじゃないかなぁ」

「なんだ、小物じゃん」

立ち上がって、ぼくより頭半分背の低いミシマを見下ろすかたちになって言った。

「いいでしょ。小物でも技術は技術だよ。じゃあセダくんはどうなの?今日なんコ?」

「……ゼロだけど」

「ほぅら、みなさいよ。マジメにやってるのなんて、わたしとミタライくんと、あとはシズちゃんくらいなもんじゃない」

言いながら、海中ゴーグルを外すミシマ。

──と、裸眼でぼくを見たミシマは、とたんにアハハッと声を出して笑い出した。

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