むらさき
2 夜のはじまり
夕方になって、ぼくらは合宿所へ戻る。
ぼくを含めて十二人。
男の子が七人で女の子が五人。
先頭を歩いているのが仕切り屋のミツル。
続いてトモロウがタケシの落書きだらけな体をからかいながら並んで歩く。
その後ろからふたりのやりとりを見て、ぼくとコウジ、それからタケハラくんは笑いあう。
ぼくの後ろには女子ふたりがおしゃべりしながら歩く。
で──ミシマは、シズエといっしょに一番後ろで泣いているガジの背を押してやっている。
……生真面目トリオだ。
合宿所には先生がいる。
昔に海の子だった、若い大人な先生だ。
全部で三人いて、ぼくら十二人を四人ずつ、みっつの組に分けている。
ぼくの担当の先生はダイチャン先生。
本当はダイジロウって名前だけど、タケシがダイチャン先生、って初めての時に呼んでから、みんなそう呼ぶようになった。
先生は海の子のことをいろいろと教えてくれる。
海から持ち帰った技術の取り扱い方。
海で気をつけなくっちゃいけないこと。
海の水を飲んでしまったときの対処法。
他にもいろいろ。