むらさき
ダイチャン先生の変わっているところは、ぼくらのことを名前に「さん」付けで呼ぶこと。

「ユウスケさん」

なんて初めて呼ばれたときは、この人オカマさんなんじゃないかと本気で疑った。

……ううん、本当はいまも疑ってる。


合宿所へ戻ると各担当の先生がまず、今日のみんなの貢ぎの数をポットから出して言う。

ぼくはこれがあんまり好きじゃない。

だって──

「シズエさん、四コ。エリさん、三コ。タケシさん、一コ。……ユウスケさん、ゼロコ」

──ぼくは技術漁りが他の誰よりも苦手だったから。

ダイチャン先生はフーっとため息を吐いた。

「ユウスケさん。あとで補習です」

「えぇっ!?ちょっと待ってよ~先生!」

「待ってじゃありません。ユウスケさん、あなたこれで三日連続で貢ぎなしですよ。あなたは技術漁りの重要性がわかっていない。今日はみっちりと基本から教えてあげます」

「そんなバカな~」

ぼくがガックリとうなだれると、ぼくの隣にいたタケシは口を押さえて笑った。

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