臆病な背中で恋をした ~2
「明里、唐揚げ、何個食う?」

「んー3つ?」

 いつもと同じに、弟のナオがお弁当のおかずを作ってくれる朝。



「ちゃんと前見て、コケねぇように気を付けてけよ!」

 いつもと同じに、ナオに念押しされて別れる駅の改札。



「あ、おはよーっ、手塚さん」

 眠そうな顔で先輩の初野さんが挨拶してくれる、会社のロッカールーム。

「おはようございます」

 いつもと同じ笑顔で返すわたし。


 
 いつもと同じ一日のはじまり。

 過ぎてく時間は同じ速度でずっと流れ続けているのに。

 わたしのだけハムスターが回す回し車みたい。

 クルクル回転して、亮ちゃんがいない毎日を繰り返している。・・・みたい。
 


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