臆病な背中で恋をした ~2
亮ちゃんはわたしを抱いてくれた。
ホテルに部屋を取って、最初から最後まで大事に抱いてもらった。
わたしは。亮ちゃんに『あいしてる』って言い続けた。
亮ちゃんの耳に刻みつけておきたかった。
何度もなんどもキスをした。
躰中、亮ちゃんの指と舌におかしくされて。
息遣いも熱も激しさも全部。わたしの中に刻んでもらった。
ひたすらに求め合って繋がり合った。
泣いても止めないでってお願いした。
『明里』
亮ちゃんの声が切れ切れに。呼んでは繰り返した。
わたしの髪を撫で、頬を撫で。額に瞼に、口付けを落とした。
胸に、脚の付け根にいくつも紅い花を散らせた。
忘れろって言ったくせに。
忘れるな・・・って。言ってるみたいだった。
紫の花を咲かせた背中は亮ちゃんの覚悟。
生き様をつらぬくための覚悟。
わたしにはどこまでも優しくて臆病なその背中を。
抱き締めさせてほしかった。この先もずっと。
亮ちゃんのそばで。