臆病な背中で恋をした ~2
もちろん亮ちゃんのことを言ってるのはお父さんだって分かったはず。でもそれには触れず。

「二人に任せるから間違わないようにな」

わたしに目を合わせて優しく頷いてくれた。




津田さんは突然の訪問をもう一度お父さんに詫び、再度の挨拶を口にして20分ほどで帰って行った。

門の外まで送りに出たわたしと向かい合った時には、感情の消えたいつもの彼に戻っていた。

「忘れるな、あんたは俺と『婚約中』だ。上手く立ち回れよ?」

「津田さん、あの」

「さっさと『幼馴染』を吹っ切って俺のところに来い」


本気で言われているのか、フリで言っているのか。惑うわたし。 
答えを聞かないうちに、津田さんは闇の中にどんどん小さく。
後ろ姿は見えなくなっていった。



< 59 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop