臆病な背中で恋をした ~2
どうして? どうして亮ちゃんがここにいるの? 偶然・・・? でも去年のお正月も梓と会った帰りの電車で・・・!

きっと偶然じゃないってことだけ。それ以外は何がなんだか分からない。だって亮ちゃんはもうわたしのことは。あの時だって・・・追いかけてくれなかったのに。

「・・・ほら。荷物貸してみろ」

「え?、・・・あ」

亮ちゃんはわたしの腕からバッグを抜き取り、肩のも寄越せと手を差し出した。おずおずと手渡してお礼を言う。

「・・・ありがと」

「行くぞ」

反対側に二つとも肩掛けし、空いてる方でわたしの手を握る亮ちゃん。・・・まるで買い物に付き合ってくれた恋人みたいに。

信じられない心地で掌に確かな温もりを感じて。隣りを亮ちゃんが歩いてる。
もう二度とこんな日は来ないって思ってた。
切なくて胸が潰れそうで泣きそう。
・・・逢えた。会いに来てくれた。
たとえ理由がなんでも。

うれしい。嬉しいの、亮ちゃん・・・っっ。


このまま世界が終わってしまえばいい、亮ちゃんの傍で。それ以上のシアワセなんか要らない。そう心から本気で願った。



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