臆病な背中で恋をした ~2
「俺の女だと知れればお前も狙われる。・・・結婚も一緒に暮らすことも出来ない。今までどおり連絡先も教えられない。お前を守るためだと言ったら納得できるか?」

亮ちゃんの真剣な表情に小さく、でもしっかり頷き返してみせる。

誰が聴いても『普通』じゃないのは分かってる。ナオだったらすっごく怒って何がなんでも諦めさせようとすると思う。わたしを大切に思ってくれてるからこそ。

「・・・・・・それでも、明里が俺といて幸せだと思うならもう言うことはない。お前にしてやれるのは・・・この先どこにいようと最期まで明里を愛して死ぬことだけだ。そんな男に付き合って地獄に道連れになる必要なんかないんだぞ」

淡々と言いながら眸の奥が微かに揺れてる。
迷ってる時、わたしの気持ちを確かめたい時。
・・・どこか不安そうに揺れる。
何も感じない機械でもない、変わってなんかない。
亮ちゃんは亮ちゃんのままだ・・・って嬉しくて安心する、こんな時でも。

ゆるゆると手を伸ばして亮ちゃんの頬に触れた。この温もりが消えずにいてくれるだけで、他にはなんにも要らない。愛してくれてるだけで誰よりもシアワセ。

「・・・いいの。一緒にいられなくても時々でも、わたしが亮ちゃんの帰る場所になれたら・・・それでいいの。亮ちゃんに全部あげるのはわたしだから、どこに連れてっても亮ちゃんの自由でしょう・・・?」

心から満たされた気持ちのままに、わたしは微笑みを返した。
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