しあわせ食堂の異世界ご飯2
栗の皮を剥き終わったら、次はお米の準備だ。
いつも通りに研いで、ほんの少し塩と酒を加えて栗を入れる。四等分の大きさにはせず、丸ごと一粒を使う贅沢。
「これを火にセットして、あとは炊きあがるのを待つだけっと」
アリアは一息ついて、どうせだから簡単なおかずも作ろうと考える。リントのおにぎりに添えて、夕飯のおかずにもなるし一石二鳥だ。
頭の中でメニューを決めて、必要なものをもらうためカミルに声をかける。
「カミル、おかずに使うからベーコンもらっていい?」
「ああ、いいぞ。後は何がいる?」
「んーと、卵と……アスパラガス、レタス、ニンジン、キュウリもほしいかな」
必要な物を告げると、カミルが食糧庫から取り出してくれた。
作るのは、ベーコンのアスパラ巻きと、ゆで卵のサラダだ。これならおにぎりと一緒に包みやすいし、見た目も美味しそうだから喜んでもらえるだろう。
アスパラガスを下茹でして、ベーコンを巻いて焼く。
卵はゆで卵にして、黄身部分をくりぬき細かく刻んだレタス、ニンジン、キュウリと混ぜ合わせてもう一度詰めれば白身に入れた卵サラダの完成だ。
そして次に、本日のメインを確認する。
ちょうどご飯が炊きあがったので、アリアはドキドキしながら土鍋のふたを開ける。
本日のメニュー、『大きな栗のほくほく炊き込みご飯』の完成だ。
「うん、いい匂い! カミル、味見しよう」
「するする!」
お皿にご飯をよそって、カミルに差し出す。
「どんな料理になるのかと思ってたけど、見た目は普通なんだな」
カミルの感想を聞き、アリアは「そうだよ」と頷く。
栗本来の甘味を引き出すために、余計な調味料は使っていない。なので、栗とお米に余計な色はつかずほとんど素材そのままの色だ。
スプーンでご飯と栗をすくって、カミルは迷わず口へ含む。
「んん、あつっ! はふっ! でも、ホクホクだ!!」
熱いと繰り返しながらも、カミルははふはふしながら食べ進める。栗の甘味がほんのりご飯に移り、いつもより噛みしめて食べたいと思ってしまう一品だ。
さらに大きな栗は、炊く前の硬さを忘れてしまうほどに柔らかで、あっという間に口の中でくずれてしまった。
「甘くて、美味い……」
「でしょ?」
「はじめは米と一緒に食べるのかと思ったけど、すごく合ってる。栗は大きくて甘いくせに、ご飯は甘くなりすぎてない」
濃い味付けでも、薄い味付けでも、どちらの料理にもこの栗ご飯は一緒に出せるとカミルは太鼓判を押す。
カミルはすぐに栗ご飯を平らげて、「お代わりしたいくらいだ」と興奮している。そんなことをしたら夕飯の分がなくなってしまうので、少しの間は我慢だ。
「夜にいっぱい食べてよ。手伝ってくれて、ありがとうね」
「ああ。夕飯はたっぷり食わせてもらうよ」
今から待ち遠しいと、カミルは嬉しそうにしてくれる。アリアも早くリントにおにぎりを渡して、こんな風に笑顔を見せてもらいたいなと思う。
楽しく話していると、しあわせ食堂のドアが叩かれた。
「あ! リントさんかな?」
「何か約束してるのか?」
「うん。栗をもらったお礼に、おにぎりを作ったんだ」
嬉しそうに告げて、アリアは厨房から店内へ移動し、ドアを開けてリントを迎え入れる。てっきりローレンツと一緒に来るかと思ったけれど、ひとりだ。
「リントさん、いらっしゃい。おにぎり、できてますよ!」
「ああ、ありがとう。忙しいのに、用意してもらってすまないな」
「気にしないでください。とっても美味しくできましたから」
そう言って、リントの分とローレンツの分を渡す。おそらく王城に戻れば会うだろうから、ローレンツにはその際に渡してもらえばいい。
いつも通りに研いで、ほんの少し塩と酒を加えて栗を入れる。四等分の大きさにはせず、丸ごと一粒を使う贅沢。
「これを火にセットして、あとは炊きあがるのを待つだけっと」
アリアは一息ついて、どうせだから簡単なおかずも作ろうと考える。リントのおにぎりに添えて、夕飯のおかずにもなるし一石二鳥だ。
頭の中でメニューを決めて、必要なものをもらうためカミルに声をかける。
「カミル、おかずに使うからベーコンもらっていい?」
「ああ、いいぞ。後は何がいる?」
「んーと、卵と……アスパラガス、レタス、ニンジン、キュウリもほしいかな」
必要な物を告げると、カミルが食糧庫から取り出してくれた。
作るのは、ベーコンのアスパラ巻きと、ゆで卵のサラダだ。これならおにぎりと一緒に包みやすいし、見た目も美味しそうだから喜んでもらえるだろう。
アスパラガスを下茹でして、ベーコンを巻いて焼く。
卵はゆで卵にして、黄身部分をくりぬき細かく刻んだレタス、ニンジン、キュウリと混ぜ合わせてもう一度詰めれば白身に入れた卵サラダの完成だ。
そして次に、本日のメインを確認する。
ちょうどご飯が炊きあがったので、アリアはドキドキしながら土鍋のふたを開ける。
本日のメニュー、『大きな栗のほくほく炊き込みご飯』の完成だ。
「うん、いい匂い! カミル、味見しよう」
「するする!」
お皿にご飯をよそって、カミルに差し出す。
「どんな料理になるのかと思ってたけど、見た目は普通なんだな」
カミルの感想を聞き、アリアは「そうだよ」と頷く。
栗本来の甘味を引き出すために、余計な調味料は使っていない。なので、栗とお米に余計な色はつかずほとんど素材そのままの色だ。
スプーンでご飯と栗をすくって、カミルは迷わず口へ含む。
「んん、あつっ! はふっ! でも、ホクホクだ!!」
熱いと繰り返しながらも、カミルははふはふしながら食べ進める。栗の甘味がほんのりご飯に移り、いつもより噛みしめて食べたいと思ってしまう一品だ。
さらに大きな栗は、炊く前の硬さを忘れてしまうほどに柔らかで、あっという間に口の中でくずれてしまった。
「甘くて、美味い……」
「でしょ?」
「はじめは米と一緒に食べるのかと思ったけど、すごく合ってる。栗は大きくて甘いくせに、ご飯は甘くなりすぎてない」
濃い味付けでも、薄い味付けでも、どちらの料理にもこの栗ご飯は一緒に出せるとカミルは太鼓判を押す。
カミルはすぐに栗ご飯を平らげて、「お代わりしたいくらいだ」と興奮している。そんなことをしたら夕飯の分がなくなってしまうので、少しの間は我慢だ。
「夜にいっぱい食べてよ。手伝ってくれて、ありがとうね」
「ああ。夕飯はたっぷり食わせてもらうよ」
今から待ち遠しいと、カミルは嬉しそうにしてくれる。アリアも早くリントにおにぎりを渡して、こんな風に笑顔を見せてもらいたいなと思う。
楽しく話していると、しあわせ食堂のドアが叩かれた。
「あ! リントさんかな?」
「何か約束してるのか?」
「うん。栗をもらったお礼に、おにぎりを作ったんだ」
嬉しそうに告げて、アリアは厨房から店内へ移動し、ドアを開けてリントを迎え入れる。てっきりローレンツと一緒に来るかと思ったけれど、ひとりだ。
「リントさん、いらっしゃい。おにぎり、できてますよ!」
「ああ、ありがとう。忙しいのに、用意してもらってすまないな」
「気にしないでください。とっても美味しくできましたから」
そう言って、リントの分とローレンツの分を渡す。おそらく王城に戻れば会うだろうから、ローレンツにはその際に渡してもらえばいい。