しあわせ食堂の異世界ご飯2
長い茜色の髪をハーフアップにして、花の髪飾りがついたリボンで後ろをまとめる。身に着けるのは、シャンパンゴールドに白色のレースをあしらったローウエストのドレス。
仕上げに淡いピンクの紅を引けば、王女アリアの完成だ。
「んんっ、我ながら最高の仕上がりです! アリア様、とても美しいです」
「ありがとう、シャルル」
鏡に映った自分を見て、アリアは深呼吸で緊張をほぐす。
ここは、ジェーロの王城に用意してもらったアリアの自室だ。
可愛らしい猫足の家具と、オフホワイトの柔らかな壁紙。隣には寝室も用意されていて、いつ来ても不都合なく暮らせるよう準備が整えられている。
クローゼットは大容量で、ドレスをたくさん収納可能だ。
とはいえ、アリアはエストレーラからほとんど装飾品やドレスを持ってこなかった。
今着ている盛装のドレスが一着だけなので、今後のことも考えて早急に用意していかなければと考えている。
また今日のようなお茶会があった場合、ドレスが必要になる。さすがに、同じドレスで参加するのは憚られる。
アリアはドレッサーの前から立ち上がって、シャルルに「行きましょう」と声をかける。
同時に、最終確認もちゃんと行う。
「お土産のお菓子は問題なさそう?」
「はい、ちゃんと冷えてますよ。火の魔道具も持ってますから、仕上げも行えます」
シャルルの言葉を聞き、大丈夫そうだとアリアは頷く。
さあ、女の戦いの始まりだ。
赤と白の薔薇が咲き、深い緑色の葉がほどよく日差しを遮る。
白色の陶器に、淡い色で花が描かれているティーカップ。自身の前に用意された紅茶の上品な香りに、アリアは思わずうっとりしてしまう。
セレスティーナ主催のお茶会は、王城の敷地内にある美しい薔薇の庭園で行われる。
アリアのほかにいるのは、四人の妃候補。
最初に、主催者であるセレスティーナがアリアへ声をかけた。
「本日はアリア様にお会いできて嬉しいわ。どうしてか王城で会うことがありませんでしたから、気になっていたの」
「わたくしもお会いできて光栄です、セレスティーナ様。どうぞよろしくお願いいたします」
アリアは淑女の礼をし、挨拶をする。
そして口調も普段よりお淑やかなものにし、自分のことも『私』から『わたくし』と言い方を変える。
お茶会を主催した大国トワイライドの第一王女、セレスティーナ・トワイライド。
アリアよりひとつ年上の、十七歳だ。
愛らしい桃色の瞳と、ふわりと揺れる水色のロングヘアー。レースをあしらったハイウエストのネイビーのドレスは、彼女をぐっと大人っぽく見せている。
「わたくしたちも、アリア様にお会いできるのを楽しみにしていたんですのよ。ローズマリー・ルーズベルよ、よろしくね」
「お会いできて嬉しく思います、ローズマリー様。アリア・エストレーラです」
よろしくお願いしますと微笑んで、アリアは残りのふたりにも挨拶をする。
「シンシア・ファフティマ。ドレスは苦手なので、ローブで失礼させていただきます」
「わたくしはジュリエッタ・アンディークです。どうぞ仲良くしてください」
「アリア・エストレーラです。よろしくお願いいたします」
(今のところ、順調な滑り出し……かな?)
緊張して笑顔がなくなっているなんてことは、ないはずだ。和やかな雰囲気で始まったお茶会に、ほっとする。
仕上げに淡いピンクの紅を引けば、王女アリアの完成だ。
「んんっ、我ながら最高の仕上がりです! アリア様、とても美しいです」
「ありがとう、シャルル」
鏡に映った自分を見て、アリアは深呼吸で緊張をほぐす。
ここは、ジェーロの王城に用意してもらったアリアの自室だ。
可愛らしい猫足の家具と、オフホワイトの柔らかな壁紙。隣には寝室も用意されていて、いつ来ても不都合なく暮らせるよう準備が整えられている。
クローゼットは大容量で、ドレスをたくさん収納可能だ。
とはいえ、アリアはエストレーラからほとんど装飾品やドレスを持ってこなかった。
今着ている盛装のドレスが一着だけなので、今後のことも考えて早急に用意していかなければと考えている。
また今日のようなお茶会があった場合、ドレスが必要になる。さすがに、同じドレスで参加するのは憚られる。
アリアはドレッサーの前から立ち上がって、シャルルに「行きましょう」と声をかける。
同時に、最終確認もちゃんと行う。
「お土産のお菓子は問題なさそう?」
「はい、ちゃんと冷えてますよ。火の魔道具も持ってますから、仕上げも行えます」
シャルルの言葉を聞き、大丈夫そうだとアリアは頷く。
さあ、女の戦いの始まりだ。
赤と白の薔薇が咲き、深い緑色の葉がほどよく日差しを遮る。
白色の陶器に、淡い色で花が描かれているティーカップ。自身の前に用意された紅茶の上品な香りに、アリアは思わずうっとりしてしまう。
セレスティーナ主催のお茶会は、王城の敷地内にある美しい薔薇の庭園で行われる。
アリアのほかにいるのは、四人の妃候補。
最初に、主催者であるセレスティーナがアリアへ声をかけた。
「本日はアリア様にお会いできて嬉しいわ。どうしてか王城で会うことがありませんでしたから、気になっていたの」
「わたくしもお会いできて光栄です、セレスティーナ様。どうぞよろしくお願いいたします」
アリアは淑女の礼をし、挨拶をする。
そして口調も普段よりお淑やかなものにし、自分のことも『私』から『わたくし』と言い方を変える。
お茶会を主催した大国トワイライドの第一王女、セレスティーナ・トワイライド。
アリアよりひとつ年上の、十七歳だ。
愛らしい桃色の瞳と、ふわりと揺れる水色のロングヘアー。レースをあしらったハイウエストのネイビーのドレスは、彼女をぐっと大人っぽく見せている。
「わたくしたちも、アリア様にお会いできるのを楽しみにしていたんですのよ。ローズマリー・ルーズベルよ、よろしくね」
「お会いできて嬉しく思います、ローズマリー様。アリア・エストレーラです」
よろしくお願いしますと微笑んで、アリアは残りのふたりにも挨拶をする。
「シンシア・ファフティマ。ドレスは苦手なので、ローブで失礼させていただきます」
「わたくしはジュリエッタ・アンディークです。どうぞ仲良くしてください」
「アリア・エストレーラです。よろしくお願いいたします」
(今のところ、順調な滑り出し……かな?)
緊張して笑顔がなくなっているなんてことは、ないはずだ。和やかな雰囲気で始まったお茶会に、ほっとする。