しあわせ食堂の異世界ご飯2
アンディーク王国は、庇護下に入れればいいようだ。ジュリエッタは即座に引き下がり、セレスティーナの下につくと態度で示す。
一方、シンシアはまっすぐセレスティーナを見つめて首を振った。
「わたくしは、わたくしに絶対の誇りを持ってジェーロへ参りました。ですから、その意思を変えるつもりはありません」
「……小国のファフティマが、わたくしに立てつくというの?」
「これは、わたくしとセレスティーナ様の問題ではないはずです。すべての決定は、リベルト陛下にあります」
「そう」
シンシアの反論に脅しをかけるが、彼女は首を縦にすることはなかった。それにセレスティーナは小さく返事をしてから、次はアリアへ問いかける。
「アリア様はどうかしら? エストレーラも、庇護下に入ることが目的でしょう?」
「え、ええ。我が国は小国ですから、大国との繋がりがとても大切なんです」
「そうでしょうね」
若干引きつった笑みになりながらも、アリアは庇護を得ることがエストレーラの総意だと告げる。もちろんこれは本当のことなのだが、今のアリアはリベルトの妃になることも望んでいる。
(セレスティーナ様に、『はい』という返事はできない)
アリアの返事を待つセレスティーナに、なんて答えれば波風が立たないだろうかと考えるが……いい言葉が思い浮かばない。
どうにか口を開こうとしたアリアよりも早く、シンシアが再び口を開いた。
「アリア様も、リベルト陛下の妃になることを望んでいるのではないの? エストレーラからジェーロは遠いから、生半可な覚悟で来たわけではないと思うけれど」
「シンシア様……それは、ええと」
さすがに、ここで嘘をついて望んでいないとは言えない。
追い打ちをかけるかのように、セレスティーナも綺麗な桃色の瞳で、睨みつけるようにアリアを見る。
「まあ。アリア様も、リベルト様との婚姻を望んでいるの?」
「……はい。わたくしは、リベルト陛下をお慕いしていますから」
アリアは観念して、自分の気持ちを正直に伝えた。
「わたくしが庇護を与えると言っているのに、なんてことかしら。あなた、トワイライドを敵に回す覚悟があって?」
「――っ!」
(完全に、脅しじゃない!)
ストレートな物言いをするセレスティーナに、アリアは唇を噛む。予想していた以上に、波乱万丈なお茶会だ。
アリアとシンシアのふたりと、セレスティーナの間に嫌な空気が流れる。
「もう、それくらいにしたらどう?」
「ローズマリー、邪魔をするの?」
「別に邪魔をするつもりはないけれど……セレスティーナったら、言い過ぎだわ。アリア様とシンシア様が、可哀相じゃない」
くすくす笑いながら、ローズマリーがセレスティーナを止めてくれた。
(私たちを助けてくれたの……?)
てっきり、セレスティーナとローズマリーは手を組んでいるものだと思っていたアリアだったが、そうではなかったようだ。
「まあ、いいわ。今日のところは、ローズマリーに免じてここまでにしてあげるわ!」
「あ、ありがとうございます……セレスティーナ様、ローズマリー様」
よくわからないが、アリアはとりあえずふたりに礼を述べる。
「ふふ。今日は素直ね、セレスティーナ。いつもはわたくしが数回声をかけて、やっと止まるのに」
「別に、わたくしがどう判断しようとわたくしの勝手でしょう?」
「そうね」
ふたりの会話を聞く限り、普段のセレスティーナはもっと傲慢なようだ。けれど、今日はセレスティーナが素直に引き下がってくれたらしい。
一方、シンシアはまっすぐセレスティーナを見つめて首を振った。
「わたくしは、わたくしに絶対の誇りを持ってジェーロへ参りました。ですから、その意思を変えるつもりはありません」
「……小国のファフティマが、わたくしに立てつくというの?」
「これは、わたくしとセレスティーナ様の問題ではないはずです。すべての決定は、リベルト陛下にあります」
「そう」
シンシアの反論に脅しをかけるが、彼女は首を縦にすることはなかった。それにセレスティーナは小さく返事をしてから、次はアリアへ問いかける。
「アリア様はどうかしら? エストレーラも、庇護下に入ることが目的でしょう?」
「え、ええ。我が国は小国ですから、大国との繋がりがとても大切なんです」
「そうでしょうね」
若干引きつった笑みになりながらも、アリアは庇護を得ることがエストレーラの総意だと告げる。もちろんこれは本当のことなのだが、今のアリアはリベルトの妃になることも望んでいる。
(セレスティーナ様に、『はい』という返事はできない)
アリアの返事を待つセレスティーナに、なんて答えれば波風が立たないだろうかと考えるが……いい言葉が思い浮かばない。
どうにか口を開こうとしたアリアよりも早く、シンシアが再び口を開いた。
「アリア様も、リベルト陛下の妃になることを望んでいるのではないの? エストレーラからジェーロは遠いから、生半可な覚悟で来たわけではないと思うけれど」
「シンシア様……それは、ええと」
さすがに、ここで嘘をついて望んでいないとは言えない。
追い打ちをかけるかのように、セレスティーナも綺麗な桃色の瞳で、睨みつけるようにアリアを見る。
「まあ。アリア様も、リベルト様との婚姻を望んでいるの?」
「……はい。わたくしは、リベルト陛下をお慕いしていますから」
アリアは観念して、自分の気持ちを正直に伝えた。
「わたくしが庇護を与えると言っているのに、なんてことかしら。あなた、トワイライドを敵に回す覚悟があって?」
「――っ!」
(完全に、脅しじゃない!)
ストレートな物言いをするセレスティーナに、アリアは唇を噛む。予想していた以上に、波乱万丈なお茶会だ。
アリアとシンシアのふたりと、セレスティーナの間に嫌な空気が流れる。
「もう、それくらいにしたらどう?」
「ローズマリー、邪魔をするの?」
「別に邪魔をするつもりはないけれど……セレスティーナったら、言い過ぎだわ。アリア様とシンシア様が、可哀相じゃない」
くすくす笑いながら、ローズマリーがセレスティーナを止めてくれた。
(私たちを助けてくれたの……?)
てっきり、セレスティーナとローズマリーは手を組んでいるものだと思っていたアリアだったが、そうではなかったようだ。
「まあ、いいわ。今日のところは、ローズマリーに免じてここまでにしてあげるわ!」
「あ、ありがとうございます……セレスティーナ様、ローズマリー様」
よくわからないが、アリアはとりあえずふたりに礼を述べる。
「ふふ。今日は素直ね、セレスティーナ。いつもはわたくしが数回声をかけて、やっと止まるのに」
「別に、わたくしがどう判断しようとわたくしの勝手でしょう?」
「そうね」
ふたりの会話を聞く限り、普段のセレスティーナはもっと傲慢なようだ。けれど、今日はセレスティーナが素直に引き下がってくれたらしい。