しあわせ食堂の異世界ご飯2
3 巨大椎茸の王様ステーキ
カランとドアについたベルが鳴り、しあわせ食堂には止まることなくお客さんがやってくる。
「いらっしゃいませ~! こちらの席へどうぞ」
シャルルは席の準備をして、入って来た人へ声をかけ席へ促す。
「ありがとう。いやぁ、三十分以上も並ぶとは思わなかったよ! 収穫祭前は、人が多いな」
「大勢の人が、この街に来てますもんね」
たわいのない雑談をしながら、シャルルはカレーの注文を取る。
お客さんが言った通り、ここ数日のしあわせ食堂はいつも以上に行列ができていた。なので、食事までの待ち時間が長くなってしまっているのだ。
その原因は、話題にあがった『秋の大収穫祭』にある。
大々的なお祭りなので、この街以外からも多くの人が来るのだ。飲食店はもちろん、どこの宿屋も嬉しい悲鳴の嵐だろう。
シャルルがアリアに注文を伝えると、今度は違う常連客が声をかけてきた。その話題は、やっぱり収穫祭のことだ。
「そういや、シャルルちゃんはキノコ大会に参加したりしないのかい?」
「私じゃなくて、アリアが出ますよ! 応援してくださいね」
「アリアちゃんが出るのか! そりゃあ楽しみだ、もちろん応援するさ!」
絶対に優勝しなければならない女の闘いなので、シャルルも気合は十分だ。今日はお店が終わったら、山へ下見に行ったりする予定になっている。
収穫祭にアリアが出場することをシャルルが告げたら、ほかのお客さんも話題に入ってきた。
「狙うなら、椎茸がいいぞ! あれは成長すれば、でっかくなるからな!」
「高級キノコも生えてはいるが、そっちはでかくないからなぁ。今回ばっかりは、無視だ、無視!」
「わあっ! 貴重な情報ありがとうございます!!」
山にはたくさんの種類のキノコが生えているようだが、大きくならないものもあるらしい。
群生地を見つけても、大きく成長しないのならば周囲を探しても意味がないと教えてもらう。やはり、情報は大事だ。
シャルルはほかにも何か必勝方法みたいなものがないか、常連に教えてもらった。
アリアは注文の入った料理をカウンターに置いて、シャルルに配膳を頼む。同時に、料理の残りを確認して何人前になるか計算していく。
「あと十人前ってところかな」
ぽつりと呟くと、エマが手を止めてアリアへ声をかける。
「なら、閉店の準備をしようかね」
「エマさん! お願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ」
まだお店の外にはお客さんが並んでいるため、現在残っているカレーの残量を伝えて列を解散させるのだ。
申し訳ないけれど、品切れはどうしようもない。
エマは食器洗いを一時中断して、設置するクローズの札も持ってお店の外へ向かってくれた。
それと入れ違いで、カミルが下げた食器を持って厨房へやってくる。
「みんな、一週間後の収穫祭の話で持ち切りだな。てか、アリアも出るって聞いて驚いたぞ! シャルルが常連と話してた」
「ああ、そうなの。カミルには、あとで相談しようと思ってたんだよね」
「うん?」
絶対に負けたくないので、キノコ収穫のコツを教えてもらったり、大きなキノコがありそうな場所を教えてもらう予定だったのだとアリアはカミルに説明する。
「アリアって、見かけによらず負けず嫌いだったのか」
カミルは笑いながらも、相談事にすぐ了承してくれた。
「俺も何度か出たことはあるけど、さすがに優勝したことはないんだよな。でも、キノコが生えやすい場所は知ってるから少しは役に立てるぜ」
「ありがとう、とっても助かる!」
でも、カミルが参加していたことがあるとは思わなかった。
(結構参加者の多い大会なのかな?)
そういえば参加資格なども特になかったことを、アリアは思い出す。となると、最大のライバルはセレスティーナというより山に詳しい参加者なのでは……。
アリアは少し不安になりつつも、ひとまず注文の入った料理に集中することにした。
***
「いらっしゃいませ~! こちらの席へどうぞ」
シャルルは席の準備をして、入って来た人へ声をかけ席へ促す。
「ありがとう。いやぁ、三十分以上も並ぶとは思わなかったよ! 収穫祭前は、人が多いな」
「大勢の人が、この街に来てますもんね」
たわいのない雑談をしながら、シャルルはカレーの注文を取る。
お客さんが言った通り、ここ数日のしあわせ食堂はいつも以上に行列ができていた。なので、食事までの待ち時間が長くなってしまっているのだ。
その原因は、話題にあがった『秋の大収穫祭』にある。
大々的なお祭りなので、この街以外からも多くの人が来るのだ。飲食店はもちろん、どこの宿屋も嬉しい悲鳴の嵐だろう。
シャルルがアリアに注文を伝えると、今度は違う常連客が声をかけてきた。その話題は、やっぱり収穫祭のことだ。
「そういや、シャルルちゃんはキノコ大会に参加したりしないのかい?」
「私じゃなくて、アリアが出ますよ! 応援してくださいね」
「アリアちゃんが出るのか! そりゃあ楽しみだ、もちろん応援するさ!」
絶対に優勝しなければならない女の闘いなので、シャルルも気合は十分だ。今日はお店が終わったら、山へ下見に行ったりする予定になっている。
収穫祭にアリアが出場することをシャルルが告げたら、ほかのお客さんも話題に入ってきた。
「狙うなら、椎茸がいいぞ! あれは成長すれば、でっかくなるからな!」
「高級キノコも生えてはいるが、そっちはでかくないからなぁ。今回ばっかりは、無視だ、無視!」
「わあっ! 貴重な情報ありがとうございます!!」
山にはたくさんの種類のキノコが生えているようだが、大きくならないものもあるらしい。
群生地を見つけても、大きく成長しないのならば周囲を探しても意味がないと教えてもらう。やはり、情報は大事だ。
シャルルはほかにも何か必勝方法みたいなものがないか、常連に教えてもらった。
アリアは注文の入った料理をカウンターに置いて、シャルルに配膳を頼む。同時に、料理の残りを確認して何人前になるか計算していく。
「あと十人前ってところかな」
ぽつりと呟くと、エマが手を止めてアリアへ声をかける。
「なら、閉店の準備をしようかね」
「エマさん! お願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ」
まだお店の外にはお客さんが並んでいるため、現在残っているカレーの残量を伝えて列を解散させるのだ。
申し訳ないけれど、品切れはどうしようもない。
エマは食器洗いを一時中断して、設置するクローズの札も持ってお店の外へ向かってくれた。
それと入れ違いで、カミルが下げた食器を持って厨房へやってくる。
「みんな、一週間後の収穫祭の話で持ち切りだな。てか、アリアも出るって聞いて驚いたぞ! シャルルが常連と話してた」
「ああ、そうなの。カミルには、あとで相談しようと思ってたんだよね」
「うん?」
絶対に負けたくないので、キノコ収穫のコツを教えてもらったり、大きなキノコがありそうな場所を教えてもらう予定だったのだとアリアはカミルに説明する。
「アリアって、見かけによらず負けず嫌いだったのか」
カミルは笑いながらも、相談事にすぐ了承してくれた。
「俺も何度か出たことはあるけど、さすがに優勝したことはないんだよな。でも、キノコが生えやすい場所は知ってるから少しは役に立てるぜ」
「ありがとう、とっても助かる!」
でも、カミルが参加していたことがあるとは思わなかった。
(結構参加者の多い大会なのかな?)
そういえば参加資格なども特になかったことを、アリアは思い出す。となると、最大のライバルはセレスティーナというより山に詳しい参加者なのでは……。
アリアは少し不安になりつつも、ひとまず注文の入った料理に集中することにした。
***