しあわせ食堂の異世界ご飯2
店内の奥へ行き、アリアは裏口から外へ出て庭で筋トレをしているシャルルを見つけて声をかける。
「シャルル、そろそろお店を開けるって」
「もうそんな時間ですか!? すぐに準備します!」
「うん、お願いね」
片手で腕立て伏せをしていたシャルルは、すぐに立ち上がり顔を洗ったりするため井戸へ行く。その肌はしっとり汗ばんでいるので、少し時間が必要だろう。
彼女はアリアの侍女、シャルル。
腰まである蜂蜜色の髪は、三つ編みにして結んでいる。深い緑色の瞳は、ぱっちりしていて可愛らしい。
元々はエストレーラの騎士団に所属していたが、退団して侍女になり一緒にエストレーラから来てくれたのだ。
ゆえに、護衛もできる万能侍女。こうして空いている時間は、鍛錬をしていることが多い。
アリアはぐっと背伸びをして、青い空を見上げる。
今日もいい商売日和だ。
加えて、リントが来てくれている。なので、アリアはとても気分がよくて、ご機嫌だ。実はにやにやしてしまう顔を引き締めるのが大変だったりするのだが――いつも一緒にいるシャルルには、バレバレだったようだ。
「それで、アリアはどうしてそんなに嬉しそうなんですか?」
「え……私、そんなに顔に出ていた?」
「私は子供のころからアリアと一緒ですからね! あ、もしかしてリベルト陛下……リントさんがいらっしゃったんじゃないですか?」
にんまり笑うシャルルに、アリアは心の中で正解と呟く。
とはいえ、顔が赤くなっているのでもうシャルルには答えがわかっているだろう。うんうんと頷きながら、シャルルは「ラブラブですね」と嬉しそうに言う。
「もう、からかわないでちょうだい! 恥ずかしい……」
顔を押さえながら告げるアリアは、もう真っ赤だ。
シャルルが〝リベルト陛下〟と言ったように、彼女はリントの正体を知っている。アリアから、侍女であるシャルルに隠し事はしたくないので話したのだ。
そのことは、もちろんリベルトにも伝えてある。
なので、エマやカミルはアリアが王女であることを含めその事実を知ることはない。
「私は嬉しいですよ? アリアが幸せそうで。ただ、すぐに婚約……とならないのは残念ですが」
「そうね。今は陛下を信じて待ちましょう」
「はい。それまでに、私はアリアの手料理をたくさん食べないといけませんね! 婚約して王城へ行ったら、そう簡単に料理もできないかもしれませんし」
今のうちにたくさん料理をしましょうと、シャルルは微笑んだ。
「いっぱい作って、シャルルにたくさん食べてもらわないといけないわね」
「アリアの料理はどれも不思議で美味しいので、大好きです! 手に入らない食材は狩ってきますから、いつでも言ってくださいね!」
ぐっとこぶしを握って告げるシャルルに、アリアは笑ってしまう。
(シャルルがいたら、手に入らない食材なんてなさそう)
山へ入り動物を狩って、担いで帰ってくるのがシャルルだ。やると言ったら、必ずやってくれるだろう。
「そのときはお願いするわね」
「お任せください!」
誇らしげに胸を張るシャルルを見ると、とても頼もしい。
「アリア、私の準備は終わりましたからお店に行きましょう! リントさん、きっとお目当てはハンバーグですね」
「うん、当たり。とびきり美味しく焼かないといけないわね」
アリアとシャルルが裏口から店内へ戻ると、エマがしあわせ食堂の営業開始を告げた。
「シャルル、そろそろお店を開けるって」
「もうそんな時間ですか!? すぐに準備します!」
「うん、お願いね」
片手で腕立て伏せをしていたシャルルは、すぐに立ち上がり顔を洗ったりするため井戸へ行く。その肌はしっとり汗ばんでいるので、少し時間が必要だろう。
彼女はアリアの侍女、シャルル。
腰まである蜂蜜色の髪は、三つ編みにして結んでいる。深い緑色の瞳は、ぱっちりしていて可愛らしい。
元々はエストレーラの騎士団に所属していたが、退団して侍女になり一緒にエストレーラから来てくれたのだ。
ゆえに、護衛もできる万能侍女。こうして空いている時間は、鍛錬をしていることが多い。
アリアはぐっと背伸びをして、青い空を見上げる。
今日もいい商売日和だ。
加えて、リントが来てくれている。なので、アリアはとても気分がよくて、ご機嫌だ。実はにやにやしてしまう顔を引き締めるのが大変だったりするのだが――いつも一緒にいるシャルルには、バレバレだったようだ。
「それで、アリアはどうしてそんなに嬉しそうなんですか?」
「え……私、そんなに顔に出ていた?」
「私は子供のころからアリアと一緒ですからね! あ、もしかしてリベルト陛下……リントさんがいらっしゃったんじゃないですか?」
にんまり笑うシャルルに、アリアは心の中で正解と呟く。
とはいえ、顔が赤くなっているのでもうシャルルには答えがわかっているだろう。うんうんと頷きながら、シャルルは「ラブラブですね」と嬉しそうに言う。
「もう、からかわないでちょうだい! 恥ずかしい……」
顔を押さえながら告げるアリアは、もう真っ赤だ。
シャルルが〝リベルト陛下〟と言ったように、彼女はリントの正体を知っている。アリアから、侍女であるシャルルに隠し事はしたくないので話したのだ。
そのことは、もちろんリベルトにも伝えてある。
なので、エマやカミルはアリアが王女であることを含めその事実を知ることはない。
「私は嬉しいですよ? アリアが幸せそうで。ただ、すぐに婚約……とならないのは残念ですが」
「そうね。今は陛下を信じて待ちましょう」
「はい。それまでに、私はアリアの手料理をたくさん食べないといけませんね! 婚約して王城へ行ったら、そう簡単に料理もできないかもしれませんし」
今のうちにたくさん料理をしましょうと、シャルルは微笑んだ。
「いっぱい作って、シャルルにたくさん食べてもらわないといけないわね」
「アリアの料理はどれも不思議で美味しいので、大好きです! 手に入らない食材は狩ってきますから、いつでも言ってくださいね!」
ぐっとこぶしを握って告げるシャルルに、アリアは笑ってしまう。
(シャルルがいたら、手に入らない食材なんてなさそう)
山へ入り動物を狩って、担いで帰ってくるのがシャルルだ。やると言ったら、必ずやってくれるだろう。
「そのときはお願いするわね」
「お任せください!」
誇らしげに胸を張るシャルルを見ると、とても頼もしい。
「アリア、私の準備は終わりましたからお店に行きましょう! リントさん、きっとお目当てはハンバーグですね」
「うん、当たり。とびきり美味しく焼かないといけないわね」
アリアとシャルルが裏口から店内へ戻ると、エマがしあわせ食堂の営業開始を告げた。