しあわせ食堂の異世界ご飯2
「その、さ。アリアはリントさんと付き合ってるのか……?」
「……っ!」
確信に迫るそれに、アリアは一瞬びくりと肩が揺れる。
けれど、それを態度に出してはいけない。アリアは極力明るい声を意識して、返事をする。
「私は仕事が忙しいから、恋愛している暇はないし……それに、しばらく仕事一筋の予定だから」
「そうなのか?」
「うん。それに、リントさんは格好いいからもてるだろうし」
付き合う相手なら、より取り見取りじゃないかな? と、アリアは苦笑する。
(うぅ、この話題は嫌だよ~!)
ついぼろが出てしまいそうで、冷や冷やする。
「ふーん、そっか。でも、アリアだってもてるだろ?」
「そんなことないよ」
「えぇぇ、告白くらいされたことあるだろ?」
「ないよ~! 私は料理一筋だからかな? 男の人と親しくなることだってなかったから。告白なんて、無縁だよ」
料理に夢中だったから――そう告げてみたアリアだが、実際の理由はそうではない。
エストレーラの第二王女であるアリアに告白をしてくる男なんて、いないのだ。
もし好意的な場合は、正式に婚約の申し入れをするのだろうが、残念ながらその経験もない。
あるとすれば、リベルトからの告白だけ。
(うぅ、思い出しただけでドキドキしてきた!!)
アリアは早くなってきた心臓の鼓動を落ち着かるように深呼吸して、なんでもない風に振る舞う。
「でも、どうして突然こんな話題なの? ……あ! もしかしてカミル、好きな子ができたとか?」
「え?」
今までカミルから恋愛の話題なんてなかったので、何か心境の変化があったのだろうとアリアは考えた。そしてその結論は、恋愛の話を聞きたい……つまり、気になる存在ができたということだ。
そんなアリアの言葉を聞いて、カミルは苦笑しながら頭をかく。
「確かに……気になる子はいる、んだけど……」
ばつが悪そうに言うカミルを見て、アリアはピンときた。
(この反応……もしかして気になる子って、シャルルじゃない!?)
自分にシャルルとの恋愛相談をしたいけれど、恥ずかしいから遠回しに言っているのでは……と、アリアは考える。
シャルルのことであれば、一番知っているのはアリアだ。相談するのであれば、これ以上の相手はいない。
(でも、シャルルはどうなんだろう?)
アリアの結婚に関する話ならばするけれど、シャルルのことを話すことはないし、どちらかといえば恋愛よりも鍛錬をしたい女子だろう。加えて、今は侍女としての仕事も頑張ってくれている。
そんなシャルルと恋愛をするのは、難しそうだ。
「…………」
アリアとカミルの間に少し沈黙が流れて、カミルは慌てる。
「いや、ごめん。別に何かあるわけじゃないから、気にしないでくれ。ほら、こんな話はやめて栗を剥いちゃおうぜ」
「え、ええ……」
止まっていた手を再び動かして、アリアは栗の皮剥きを再開した。
「……っ!」
確信に迫るそれに、アリアは一瞬びくりと肩が揺れる。
けれど、それを態度に出してはいけない。アリアは極力明るい声を意識して、返事をする。
「私は仕事が忙しいから、恋愛している暇はないし……それに、しばらく仕事一筋の予定だから」
「そうなのか?」
「うん。それに、リントさんは格好いいからもてるだろうし」
付き合う相手なら、より取り見取りじゃないかな? と、アリアは苦笑する。
(うぅ、この話題は嫌だよ~!)
ついぼろが出てしまいそうで、冷や冷やする。
「ふーん、そっか。でも、アリアだってもてるだろ?」
「そんなことないよ」
「えぇぇ、告白くらいされたことあるだろ?」
「ないよ~! 私は料理一筋だからかな? 男の人と親しくなることだってなかったから。告白なんて、無縁だよ」
料理に夢中だったから――そう告げてみたアリアだが、実際の理由はそうではない。
エストレーラの第二王女であるアリアに告白をしてくる男なんて、いないのだ。
もし好意的な場合は、正式に婚約の申し入れをするのだろうが、残念ながらその経験もない。
あるとすれば、リベルトからの告白だけ。
(うぅ、思い出しただけでドキドキしてきた!!)
アリアは早くなってきた心臓の鼓動を落ち着かるように深呼吸して、なんでもない風に振る舞う。
「でも、どうして突然こんな話題なの? ……あ! もしかしてカミル、好きな子ができたとか?」
「え?」
今までカミルから恋愛の話題なんてなかったので、何か心境の変化があったのだろうとアリアは考えた。そしてその結論は、恋愛の話を聞きたい……つまり、気になる存在ができたということだ。
そんなアリアの言葉を聞いて、カミルは苦笑しながら頭をかく。
「確かに……気になる子はいる、んだけど……」
ばつが悪そうに言うカミルを見て、アリアはピンときた。
(この反応……もしかして気になる子って、シャルルじゃない!?)
自分にシャルルとの恋愛相談をしたいけれど、恥ずかしいから遠回しに言っているのでは……と、アリアは考える。
シャルルのことであれば、一番知っているのはアリアだ。相談するのであれば、これ以上の相手はいない。
(でも、シャルルはどうなんだろう?)
アリアの結婚に関する話ならばするけれど、シャルルのことを話すことはないし、どちらかといえば恋愛よりも鍛錬をしたい女子だろう。加えて、今は侍女としての仕事も頑張ってくれている。
そんなシャルルと恋愛をするのは、難しそうだ。
「…………」
アリアとカミルの間に少し沈黙が流れて、カミルは慌てる。
「いや、ごめん。別に何かあるわけじゃないから、気にしないでくれ。ほら、こんな話はやめて栗を剥いちゃおうぜ」
「え、ええ……」
止まっていた手を再び動かして、アリアは栗の皮剥きを再開した。