水の踊り子と幸せのピエロ~不器用な彼の寵愛~
「水中のダンスショーとか、どうでしょうか?」
「水中……? 水を使うのか?」
「はい。大きな水槽の中で、踊るんです。イルカのようには動けませんが、せめて人魚のような……こう、ひらひらと……。難しい、ですかね……?」
未だ沈黙が広がる中、波音は決まりが悪くなって、萎んでいった。おかしな提案をしてしまっただろうかと反省していると、二人の影がすっと立ち上がる。
「それいい! 私も水の中で踊ってみたい!」
「波音ちゃん、すごく素敵だと思う!」
双子の美海と宇海が賛同してくれた。普段は空中でアクロバティックなダンスを披露している二人だ。
その彼女たちが言うのだから、間違いない。波音はほっとして、また笑った。同時に、碧も笑っている。
「分かった。美海と宇海がそう言うんだし、おもしろそうだ。水槽の設計や導入費用と、ダンスそのものをどういうコンセプトでやるのか、具体的に詰めてみよう」
「……はい!」
「他の案もあれば、随時言ってきてくれ。今日のミーティングは以上だ」
できることを見つけるのに、焦る必要はない。渚の言った通りだ。一つ一つ、大切に向き合っていけば、こうして、自ずと向こうからやってくるのだから。
その日から、波音は綱渡りの練習と並行して、新たな演目『水の踊り子』に取り組むこととなった。雑用係は卒業し、一人の団員として。
「水中……? 水を使うのか?」
「はい。大きな水槽の中で、踊るんです。イルカのようには動けませんが、せめて人魚のような……こう、ひらひらと……。難しい、ですかね……?」
未だ沈黙が広がる中、波音は決まりが悪くなって、萎んでいった。おかしな提案をしてしまっただろうかと反省していると、二人の影がすっと立ち上がる。
「それいい! 私も水の中で踊ってみたい!」
「波音ちゃん、すごく素敵だと思う!」
双子の美海と宇海が賛同してくれた。普段は空中でアクロバティックなダンスを披露している二人だ。
その彼女たちが言うのだから、間違いない。波音はほっとして、また笑った。同時に、碧も笑っている。
「分かった。美海と宇海がそう言うんだし、おもしろそうだ。水槽の設計や導入費用と、ダンスそのものをどういうコンセプトでやるのか、具体的に詰めてみよう」
「……はい!」
「他の案もあれば、随時言ってきてくれ。今日のミーティングは以上だ」
できることを見つけるのに、焦る必要はない。渚の言った通りだ。一つ一つ、大切に向き合っていけば、こうして、自ずと向こうからやってくるのだから。
その日から、波音は綱渡りの練習と並行して、新たな演目『水の踊り子』に取り組むこととなった。雑用係は卒業し、一人の団員として。