Project Novel
久しぶりに笑った。
彼の笑顔も、久しぶりに見た。
「写真、また増えちゃったね」
「また壁に貼る?」
「貼るスペースなくなっちゃいそう」
写真の数だけ喧嘩した。
その数だけ、仲直りもした。
もう駄目だって思っても、こうしてまた繰り返すんだ。
「一緒に飾ろっか」
壁一面の優しい花達。
あたし達はこれだけお互い寂しくなった。
でも。
もし次同じ失敗を繰り返してしまったとしたら、今度こそはあたしから謝ろう。
彼はきっと同じように少し笑って、また花の写真を差し出す。
彼はとても単純だから。
単純で、泣きたくなるくらい愛しい。
『花のモチーフ、好きなんだ』
壁一面の優しい花達。
それはあたし達が、お互い優しくしあえた証。
【fin,】
…07.10.21…