Project Novel
髪の毛が、バスの光を浴びて栗色に揺れる。
あたしはその場で、彼女の後ろ姿を見送った。
…遠ざかるバスを見ながら、自然と思った。
彼女に言った言葉は、自分への言葉でもあった。
あぁ、いい寄り道だったな。
そろそろ行かなくちゃ。
温かい笑顔をお土産に、あたしはもうゴールに向かわなきゃいけない。
寄り道は寄り道。
ずっとその場には、いられないから。
月に目をやった。
綺麗な夜で、よかった。
あたしは微笑んで言った。
「楽しかったなぁ」