Project Novel


…バスはとても空いていた。

私の他に、女の子が二人。

飲み会の帰りだろうか、真夜中なのにテンションの高いまま喋り続けている。

泣いたからだろうか、なんだかとても眠い。
私は小さなあくびをして、窓に頭をもたれた。

彼女達の声を子守唄に、私はそっと瞼を閉じた。



「そいや、今日真希来てなかったね。やっぱ気まずいから?」
「あ、違う違う。なんか、真希のサークルの後輩が事故で死んじゃったんだって。だから今日は、お葬式」
「うそ、そうなの?」
「あんまり交流はなかったみたいなんだけどね。明るくて、いつも楽しそうにしてるいい子だったーって言ってた。事故現場、さっきのバス停の近くだよ」
「えーうそ、怖いこと言わないでよー」
「あはは、大丈夫だって。バス停、うちら二人しかいなかったじゃん」





…月が出ていた。

うっすらと雲に覆われて、それは妖しく優しく暗い地上に明かりを灯す。


彼女に出会ったのは、そんな不思議な夜だった。






【fin,】
…07.11.11…




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